ライズターボ廃止って2WDだけ?4WD(1000cc ターボ)だけ残ったのは馬力不足?

ライズはもともとは1Lターボエンジンだけだったのですが、2021年11月の一部改良でターボ廃止という情報が流れました。

実際には廃止は2WDだけということだったようですので、このときのターボ廃止の経緯について詳しく説明していきます。

また、結果的に4WDだけ1Lターボが残りましたが、その原因は新エンジンの馬力不足なのかもチェックしておきましょう。

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ライズターボは廃止で2WDだけ?(2021年11月のエンジン変更)

ここでは、2021年11月のエンジン変更について説明していきます。

ライズターボ廃止は2WDだけだったのでしょうか。

  1. 新開発1.2Ⅼエンジン「WA-VE」の投入
  2. ハイブリッド用には「WA-VEX」を採用
  3. 4WD車は「1KR-VET」を継続

新開発1.2Ⅼエンジン「WA-VE」の投入

新しい1.2Ⅼエンジン「WA-VE」は、動力性能、燃費、NV(騒音・振動)、サイズを一新した新開発のものです。

引用元:https://www.daihatsu.com/jp/car_information/bgjjpp00000006e9-att/rocky2111.pdf

様々な技術を投入し、特に低速トルク向上により低速域での力強く滑らかな加速を実現しています。

引用元:https://www.daihatsu.com/jp/car_information/bgjjpp00000006e9-att/rocky2111.pdf

また、燃費もWLTCモード燃費で従来の18.6km/Lから20.7km/Lに改善しており、2030年度燃費達成基準を75%以上達成することが可能になりました。

これにより、令和5年12月31日までの間は環境性能割は1%、取得時の重量税は50%減税になり、その後もエコカー扱いで安くなるのです。

こうしたエコカー減税等はマーケティング上きわめて重要で、燃費改善も含めてこうした省燃費エンジンの投入は喫緊の課題だったのでしょう。

また、コンパクトSUVの排気量1.5L以下のガソリン車で燃費NO.1(2021年11月時点)だそうで、これも言いたかったのでしょうね。

ハイブリッド用には「WA-VEX」を採用

このときの一部改良ではハイブリッド用として「WA-VEX」が採用されました。

引用元:https://www.daihatsu.com/jp/car_information/bgjjpp00000006e9-att/rocky2111.pdf

「WA-VE」エンジンをHEV用に最適化することで、最高熱効率40%を確保し、ベースを共通化することでコスト低減も図ったといいます。

ハイブリッド化により燃費はWLTCモード燃費で従来の18.6km/Lから28.0km/Lに改善し、2030年度燃費達成基準を100%以上達成することが可能になりました。

これにより、令和5年12月31日までの間は環境性能割は0%、取得時の重量税は非課税となり、その後もエコカー扱いで安くります。

4WD車は「1KR-VET」を継続

こうした中で、4WD車は1Lターボエンジン「1KR-VET」を継続使用することになりました。

製造元のダイハツは、「3つのパワートレーン」と胸を張って、「各ユニットの特徴・強みを活かし、幅広いお客様のニーズに対応」と言っています。

1.0Lターボは「走りにこだわるアクティブなユーザーへ」ということのようです。

出典:https://www.daihatsu.com/jp/car_information/bgjjpp00000006e9-att/rocky2111.pdf

ただ、4WDユーザーにとっては燃費面でも税制面でも置いていかれたようで、複雑な気持ちを持たれた方も多かったのではないでしょうか。

4WDに1L(1000cc)ターボだけ残ったのは馬力不足が理由?

では、4WDに1L(1000cc)ターボだけ残ったのは馬力不足が理由なのでしょうか。

ここでは、2つのエンジンのスペックも含めて考えていきましょう。

  1. 1L(1000cc)ターボと1.2L自然吸気エンジンのスペック
  2. ルーミー4WDはノンターボの1Lエンジン
  3. SUVのライズの4WDにはそれなりのエンジンパワーは必要

1L(1000cc)ターボと1.2L自然吸気エンジンのスペック

1L(1000cc)ターボと1.2L自然吸気エンジンのスペックは以下のとおりです。

区分 4WD(1KR-VETエンジン)

1Lターボ

2WD(WA-VEエンジン)

1.2L自然吸気

最高出力 98ps(72kW)/6000rpm 87ps(64kW)/6000rpm
最大トルク 14.3kgm(140Nm)/2400~4000rpm 11.5kgm(113Nm)/4500rpm
車両重量 1,040~1,050kg 970~980kg
WLTCモード燃費 17.4km/L 20.7km/L
市街地モード 13.4km/L 15.9km/L
郊外モード 18.7km/L 21.9km/L
高速道路モード 18.9km/L 22.9km/L

車両重量が70キロ違いますが、ターボの重量増もありますから、実際の重量差は50キロくらいかと思われます。

ターボの有無がこの程度の重量差で決まるものでしょうか。

また、これだけトルクに差があるとパワーの低下は体感できるはずですが、2WDはそれよりも1割ほどの燃費向上を優先したのでしょう。

ルーミー4WDはノンターボの1Lエンジン

4WDは重くなるので新エンジンでは馬力不足なのだろうと思われるかもしれませんが、ライズより重いルーミーの4WDはノンターボのエンジンなのです。

区分 ライズ ルーミー
4WD(1KR-VET)

1Lターボ

4WD(1KR-FE)

1L自然吸気

2WD(1KR-FE)

1L自然吸気

4WD(1KR-VET)

1Lターボ

最高出力 98ps(72kW)/6000rpm 69ps(51kW)/6000rpm 98ps(72kW)/6000rpm
最大トルク 14.3kgm(140Nm)/2400~4000rpm 9.4kgm(92Nm)/4400rpm 14.3kgm(140Nm)/2400~4000rpm
車両重量 1,040~1,050kg 1,140kg 1,080~1,090kg 1,110kg

ご覧のとおり、ルーミーでは2WDにしても車両重量は重く、ライズの4WDよりもアンダーパワーです。

ルーミーに4WDが無いのは、構造的に難しいことに加えて、ほとんどのユーザーが4WDターボを求めていないこともあるようです。

ただ、これで問題無いのなら、1トン超の4WDに必ずしもターボは必要ないということになるのです。

SUVのライズの4WDにはそれなりのエンジンパワーは必要

ルーミーと事情が違うのはライズはSUVだということです。

SUVであるからには、実際にオフロードを走らなくてもある程度の悪路走破性は必要です。

ルーミーの4WDのように雪道を安全には走れればいいというわけではないのです。

そして、悪路を走る時にはエンジンのパワー、それも低速トルクが必要です。

その低速トルクを絞り出す一番簡単な方法がターボチャージャーです。

ライズの1.2Lエンジンは自然吸気なので、馬力はともかくトルクは1Lターボエンジンの8割しかなく、ピークパワーを発生するのは4000回転です。

1Lターボエンジンは2400~4000回転という低い回転域で、遥かに大きなパワーを出してくれるのです。

ダイハツは1.0Lターボは「走りにこだわるアクティブなユーザーへ」と言っていましたが、まさにライズの4WD車のユーザーがそうなのです。

また、これは推測ですが、仮に4WDに1.2L自然吸気エンジンを積んだ場合には2030年燃費基準の75%達成は難しかったのではないでしょうか。

そうなると環境性能割は1%、重量税の減税も25%ですから、パワーダウンするにしてはメリットが少なかったのかもしれませんね。

まとめ

どうやら、SUVであるライズの走行性能を確保するため、ライズの4WDには1Lターボを存続させたとみるべきようですね。

しかし、ターボエンジンのKR型はいささか古い設計です。

WA-VE型の設計思想を活かした新しい1Lエンジンや1Lターボエンジンの開発も期待してしまいますね。